○大鰐町議会ハラスメント防止条例
令和5年3月20日
条例第15号
町議会議員は町民の負託を受けた代表者であることから、その負託に応えるため、議員としての高い倫理観と品位が求められる。ましてや議員の地位による影響力を不正に利用したハラスメント行為は断じて許されるものではない。
ハラスメントは、基本的人権、個人の尊厳を著しく傷つけ、職員の勤務環境をき損し、議会活動及び議会運営に支障を来たし、議会の社会的信用並びに信頼を失うことにつながる。
特に職員に対するハラスメントは、不当に職員の尊厳を傷つけ、最悪の場合、回復不能な精神的、肉体的な被害をもたらし、ひいては人材の喪失、行政の停滞を招くことになり、町民サービスが低下し、町民のみならず社会からの信用及び信頼を失うこととなる。
大鰐町の議員と職員が相互に人格を尊重し、信頼し合うことで、それぞれの能力を十分発揮することができる環境を確保するとともに、ハラスメントの防止及び根絶に努め、町民から信頼される町政運営を目指すことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、議員による議員の地位を利用した職員に対するハラスメント及び議員間のハラスメントを防止するための措置を講じ、全ての職員と議員が個人としての尊厳を尊重され、良好な勤務環境と政治活動等の環境を確保することで町政の効率的運用に寄与し、もって信頼される議会の実現に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「ハラスメント」とは、議会活動、議員活動又は選挙活動(準備活動を含む。)その他の政治活動(以下「業務」という。)上必要かつ相当な範囲を超えた言動で、相手方とされた者(以下「相手方」という。)に対して精神的苦痛若しくは身体的な苦痛を与え、人格若しくは尊厳を害し、又は勤務環境や政治活動等の環境を害する以下の言動をいう。
(1) パワー・ハラスメント 職務に関して優越的な関係を背景として行われることの多い言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動をいう。町議会や議員全員協議会、各種委員会等の会議中に大きな声を出して職員や議員に対して威嚇・恫喝する行為もこれに含まれる。
(2) セクシャル・ハラスメント 同性、異性、LGBTなどあらゆる性的な言動をいう。
(3) マタニティ・ハラスメント 妊娠、出産、育児及び介護に関する言動をいう。
(4) その他のハラスメント 前各号に類する相手方に対する誹謗中傷、事実に反する風説の流布その他の嫌がらせとなる言動をいう。言いふらし、電話、文書、SNS、メール、掲示板等の手段を用いて、日本国憲法が保障する思想の自由、表現の自由等に配慮しても、なお、一般に許される限度を超えた言動をいう。
2 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職及び再任用職員、任期付職員、臨時的任用職員、会計年度任用職員等を含む、大鰐町の業務に従事する全ての職員をいう。
(議員の責務)
第3条 議員は、町民の代表者として、機能及び責務を自覚するとともに、常に高い倫理意識を持ち、ハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、人権侵害に当たること及び職員の労働意欲を低下させることを自覚認識し、議員及び職員の人格を尊重してハラスメントをしてはならない。
2 議員は、自身によるハラスメントがあると疑われたときは、自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明確にするよう努めなければならない。
3 議員は、ハラスメントがあると疑われる事態に遭遇したときは、当該議員に対し厳に慎むべき旨を指摘し、解決するよう努めなければならない。
(研修等)
第4条 議長は、ハラスメントの防止を図るため、議員に対し必要な研修等を実施しなければならない。
(事実関係の把握等)
第5条 議長は、議員又は職員からハラスメントに関する苦情の申出があったときは、当該苦情に係る事実関係を把握し、その解決に努めるものとする。
(措置等)
第6条 議長は、前条により、議員によるハラスメントがあったことを確認したときは、その解決策を協議するため、会派を代表する者たちから意見を聴き、当該ハラスメントを行った議員の氏名の公表その他の必要な措置、併せて申し出た議員又は職員の被害回復においても必要な措置を講じなければならない。
(議長職務の代行)
第7条 議長が調査の対象になったときは副議長が、議長及び副議長が共に調査の対象になったときは年長の議員が、この条例に規定する議長の職務を行う。
(注意義務)
第8条 議員はハラスメントによる被害者及び関係者のプライバシー保護に十分配慮し、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(委任)
第9条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。